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相続手続の流れ

相続手続の流れを概観してみましょう。

 親族が亡くなった場合、一般的には以下の手順で相続の手続をすすめます。

葬儀・埋葬 四十九日法要が終わって、一段落してから手続を開始することが通常です。

1. 相続人の確定
  だれが亡くなった方の相続人なのかを、古い戸籍まで遡って確認します。
2. 遺産の把握とその評価(相続財産の確定)
   遺産がどれだけあるのかをできるだけ正確に把握します。個人名義の不動産、預貯金、その他の財産をリストアップします。

3. 遺言はありますか?
(1)有効な遺言書が存在する場合
   遺言書がある場合は、その取扱いについて検討する必要があります。
   詳しくは、「遺言の処理」の項目をご覧ください。
 
(2)遺言書が存在しないか、遺言が無効の場合          

4. 遺産分割協議
       上記1.で確定された相続人が、2.で明らかになった遺産を、誰がどれだけ取得するか協議します。
(1) 遺産分割協議が成立した場合
   遺産分割協議の内容を書面にまとめます。(遺産分割協議書の作成)

(2) 遺産分割協議が整理せず争いになってしまった場合        
     相続人の間で話合いがつかない場合には家庭裁判所の遺産分割の調停又は審判の手続を利用することができます。調停手続では、各当事者がそれぞれどのような分割方法を希望しているか意向を聴取し、解決案を提示したり、必要な助言をして合意を目指した話合いが進められます。

 それでも話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され、裁判官が審判をすることになります。  

5.遺産の分割、遺産の名義変更、相続税の申告など
  遺言書の内容や遺産分割協議、または遺産分割調停・審判などの内容にしたがって財産関係を処理します。



誰が相続人になるのですか? (相続人の確定はどのように行うか?)

 相続人とは、被相続人(なくなった方)の遺産を受け取る人です。
 通常は、民法の規定にしたがって、誰が相続人であるか・相続分 がどれだけかが決まります(法定相続分 民法第900条参照)。
 ただし、被相続人が生前に遺言で、相続人・相続分をしていた場合には、原則として遺言にしたがうことになります。

 遺言がない場合、相続人は原則として法定相続分に従うことになります。

 この場合、誰が相続人になるかは法律の規定で明らかなので、 すぐ分かると思っていませんか?

 しかし、実は法定相続人が誰であるかは、戸籍や除籍などを丁寧に調査して慎重に確定する必要があるのです。なぜから、故人に認知した子があったり、幼い頃に養子に出た兄弟がいたりする場合があるからです。     

 ここで、手を抜いて、調査を省いたりいい加減な調査をすると、せっかくまとまった遺産分割協議をやり直すことなってしまったりして、後で痛い目に遭うこともありますので、くれぐれも注意が必要です。



相続財産の確定(遺産の把握とその評価)

 相続財産がどれだけあるかを把握することも必要なことです。
 相続人が複数いて遺産の分割をする場合、分けるものがどれだけあるかが、正確に分かっていないとそもそも分けようがありませんから。

 また、遺産の額によっては相続税も生ずるので、はたして自分の相続は相続税の課税対象になるものかどうかをまず、調査する必要もあります。

 不動産、預貯金、有価証券、動産などすべての財産を評価しなければなりません。
 ただし、位牌、遺骨などは相続財産とはなりません(民法第897条参照)。

 ところで、相続財産はプラスの財産だけではないことに注意する必要があります。

 連帯保証債務、ローンなどマイナスの財産も、相続財産として相続することになります。
 もしも、プラスの財産よりマイナスの財産が多く債務超過になるときは、借金などを引き継いでしまわないために、相続放棄の手続きをすることも出来ます。

 この場合、放棄できる期間が3ヶ月と限られていますので、注意が必要です。



遺言が見つかった場合はどうしたらよいのですか?

 遺言書がある場合には遺言にしたがった処理が必要です。

(1)有効な遺言書が存在する場合
 有効な遺言書が見つかったら、家庭裁判所で検認手続きをしなければなりません(民法第1004条)。
 これを怠ると5万円以下の過料に処せられます(民法第1005条参照)。
 有効な遺言書が存在する場合、被相続人の意思を尊重して、遺産は原則として遺言書通りに分割されることになります。

 ただし、兄弟姉妹以外の相続人(配偶者、直系卑属、直系尊属)には、最低限遺留分というものが認められていることには注意が必要です。  

(2)遺言書が存在しない・無効の場合
 遺言書が存在しない場合あるいは遺言書が存在してもそれが無効である場合には、法定相続人間で遺産分割の話し合いをすることになります(遺産分割協議)。

 遺産分割協議をするには、相続財産を確定しその評価をきちんと行っておくことが不可欠です。
 また、特別受益や寄与分なども考慮に入れて検討しなければなりません。
 遺産分割協議は時間がたてばたつほど、難しくなりますので、できるだけ相続開始後すみやかに行うことをおすすめします。

 話し合いがまとまったら、その明確な証として遺産分割協議書を作成しておくべきです。
 また、遺産分割協議書は不動産の相続登記(名義変更)をする上でも必要なものです。

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