被相続人が死亡して3カ月以上経過してしまいました。どうしたらよいでしょうか?(3/31掲載)
民法では、相続人は自己のために相続があったことを知ったときから3カ月以内(※)に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならないと定められています(第915条第1項本文)。
※この期間を、熟慮期間(じゅくりょきかん)と呼びます。
そのため、相続人が亡くなって3カ月たってしまったのでもう単純承認したことになってしまったのでしょうか?というご相談が時々あります。
しかし、法が定めているのは、あくまで、自己のために相続があったことを知ったときから3カ月以内にであって、
被相続人が亡くなったときから3カ月以内に と定めているわけではありません。
そのため、普段から被相続人と交流がなく、被相続人が亡くなってしばらくしてから、別の親族からの連絡などによって、被相続人の死亡を知ったような場合には、被相続人の死亡日から3カ月以上先の日が、熟慮期間の満了日となることもあります。
実際に当事務所が取り扱った事件でも、異母兄弟のお兄様が亡くなられたのですが、依頼者である岡崎市在住の弟さんはこのお兄様とは、生前に2~3回しかあったことがなく、しかもお兄様は北関東に住んでいらっしゃったというケースがありました。
弟さんがお兄様の死亡を知ったのは、お兄様が亡くなり住んでいた家の固定資産税が滞納となったので相続人に支払ってもらうため、北関東の市役所が相続人調査をして、唯一の相続人である弟さんに固定資産税の納付通知書を送ったからでした。
この時点で、既にお兄様が亡くなられてから半年以上経過していたのですが、無事に相続の放棄の手続ができ、弟さんはお兄様が滞納した固定資産税の支払を免れることができました。
また、過去の判例で、3カ月以内に限定承認又は相続放棄をしなかった場合でも、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためでありかつ、そう信じることに相当な理由がある場合には、被相続人に財産があると知ったか知りうることになった時点から、熟慮期間を起算するとしたものがあります。
ただ、具体的にどのような事情があれば、そのように認められるかは慎重に判断する必要があります。
自分で判断せず、相続に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
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